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【コラム】認知行動療法における、協同(協働)的経験主義とは?

2021/09/27 更新

医療法人イプシロンでは、精神科・心療内科の外来診療とともに、心理職によるカウンセリングも実施しています。カウンセリングは、患者さんがご自身の困りごとや悩みを話すことが基本のため、患者さんとカウンセラー(心理職)との治療関係がとても大切です。今回は、認知行動療法(CBT)における治療関係について説明したいと思います。

 

カウンセリング(心理療法・精神療法)で、患者さんとカウンセラーの関係が重要なことは言うまでもありません。それは、カウンセリングで語られることの多くは極めてプライベートな内容で、そう易々と他人に話せることではないからです。人には言いにくい悩みや困りごとを語るには、相手を信頼できると思えるだけの関係を作る必要があります。

 

そのためにまず必要なのは「共感」と言われるものです。患者さんの発する「つらい」「しんどい」といったメッセージやそのもとになった体験を聴き(傾聴する)、それを受け止める(受容する)ことが、関係を作るための第一歩です。しかし、CBTではこれにとどまらず、「何が」「どうして」つらいのかという点を具体的に掘り下げ、患者さんに共感しながら問題を理解することも同時に進めていきます。こうした流れの中で患者さんと治療関係を作り、同時にカウンセリングで扱っていく問題を明確にしていきます。問題の整理ができたら、それを患者さんと共有し、問題をどういう方向へどうやって持っていくのかを一緒に考えることがCBTの治療関係で、「協働関係」と呼ばれるものです。

 

患者さんと治療関係が作れたら、そこから先はCBTを用いた治療になっていきます。CBTの基本姿勢は「協同(協働)的実証主義」と呼ばれます。前回記載したように、CBTは治療効果が実証的に確認され、エビデンスのあるものです。(だからこそ、仮に、一定期間を経ても治療効果が出なければ、カウンセラーはそもそもの問題や用いている技法の見直しをしなくてはなりません。)効果が示されている技法を用いながら、先述の「協働関係」に基づいて、患者さんとカウンセラーが一緒に問題の解決に向かって取り組んでいきます。前回触れたホームワークもその一環です。カウンセラーはエビデンスに基づいてどういった課題(技法)を用いるのかを考えつつ、患者さんと一緒に課題(ホームワーク)を設定し、それを患者さんは日常生活の中で試してきてもらうという、車の両輪のような関係になります。こうしたワークの中で、患者さんにはご自身の抱える問題に対して積極的に関わることが必要とされますが、カウンセラーはそれを後押しするという点でも、「協同的」なのです。

 

カウンセリングでカウンセラーは「黙って聞いている」イメージを持たれている方もいるかもしれません。しかしCBTは「協同(協働)」関係であるため、カウンセラーは、必要に応じて問題解決に向けた提案や助言も行います。一方で、このように提案や助言をすることもあってか、CBTを用いたカウンセリングに対して、「専門的知識をもったカウンセラーが問題を解決してくれる」ことを期待される方もいますが、カウンセラーが助言(エビデンス)を一方的に押し付けたり、問題を解決してくれるということもないのです。あくまでも問題解決に向けて患者さんとカウンセラーが一緒(協同/協働的)に考え、試し、取り組んでいくというスタンス(協同(協働)的実証主義)を重視しています。

 

それはCBTで目指すことが、患者さんご自身が自分で問題を乗り越えられるようになることだからです。最初はバランスを整えるためにカウンセラーの役割が大きかったとしても、徐々にカウンセラーは補助輪ほどの役割となり、最後はカウンセラーがいなくてもご自身でバランスが取れるようになっていくといったプロセスで、カウンセリングが終結に向かいます。

 

参考論文など

塚野弘明. (2015).認知行動療法の理論と基本モデル. 岩手大学教育学部付属教育実践総合センター研究紀要, 14, 451-459.
熊野宏昭・鈴木伸一・下山晴彦著(2017)臨床心理フロンティアシリーズ 認知行動療法入門 講談社


水戸メンタルクリニック臨床心理士/公認心理師 中澤

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